2010年05月18日
神託と自我の在り処。
決められていた誓いも、
さ迷い続けた哀しみや憂いも。
13年振りに2人で眺めた風景は
夥しい無数の想いを
無言のまま受け取って風に流してしまった。
なんという虚しさだろう。
なんという温もりだろう。
そしてなんと力強く、直截的であり、
冷淡な貌をしていることだろう。
饒舌な神託を期待した情景は、どこまでも寡黙であり、
果てしの無い静寂に包まれていた。
約束されたこの風景は、
運命そのものを具現化している。
私達が神に託したのではない。
出逢った時から、神は私達に委ねていたのだ。
生きていくことを。迷い続けることを。
ささやかな幸せを拾って、微笑みに変えていくことを。
「失いかけている」
心に刺さった自分の言葉に振り返って傍らを見やると
彼女の存在は、その影の片鱗すらそこには残っていなかった。
神の無言の叱責を背中に感じながら
私は独り深い森へと向った。
孤独こそが自我の帰り着くべき、全き一つの世界なのだ。
Posted by Sinh at 01:50│Comments(0)
│シマ
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